【安心・安全】乳幼児・幼児期の食事に欠かせない「だし」:選び方・作り方・活用レシピ
乳幼児期から幼児期にかけての食事作りは、お子様の健やかな成長を支える上で非常に重要です。特に味付けにおいては、塩分や糖分を控えめにしつつ、美味しく食べてもらうための工夫が求められます。ここで役立つのが「だし」です。だしは、食材本来のうま味を引き出し、風味豊かな食事を提供するために欠かせない要素となります。
この記事では、乳幼児・幼児期の食事に安心して使用できるだしの選び方、基本的な作り方、そして毎日の献立に役立つ活用レシピについて解説します。
なぜ子供の食事にだしが大切なのか
だしを食事に取り入れることには、いくつかの利点があります。
- 塩分摂取量の抑制: だしのうま味や風味が料理の満足度を高めるため、必要以上に塩分を加えなくても美味しく仕上がります。これは、将来の生活習慣病予防の観点からも重要です。
- 食欲の促進: 素材のうま味は、子供の味覚を刺激し、食事への興味を引き出します。特に野菜など、単体では食べ慣れない食材も、だしを使った調理法で美味しく食べやすくなります。
- 味覚の発達: 自然なだしの味に触れることは、子供の味覚を豊かに育てます。素材本来の味を感じ取る力が養われます。
安心・安全なだし素材の選び方
子供のためのだし作りには、素材選びが非常に重要です。市販品も便利ですが、原材料を確認し、できる限り添加物の少ないものを選ぶように心がけましょう。
家庭でだしを取る際の素材
- 昆布: 国産のものが推奨されます。表面に白い粉が付着していることがありますが、これはうま味成分ですので拭き取る程度で問題ありません。水洗いしすぎるとうま味成分が流れ出てしまうため注意が必要です。
- かつお節: 削りたてのものが風味豊かですが、市販品を使用する場合は「無添加」や「国産」と表示されたものを選びましょう。パックタイプは手軽に使用できます。
- 煮干し: 頭と内臓を取り除くことで、雑味や苦味が抑えられます。小ぶりのものの方が処理しやすい傾向があります。カルシウムも摂取できますが、風味が強い場合があるため、少量から試すと良いでしょう。国産で酸化防止剤などが使用されていないものが望ましいです。
- 干ししいたけ: 国産のものを選びましょう。肉厚でかさが開いていないものが良質とされます。水で戻す際に、冷蔵庫で時間をかけて戻すとよりうま味が出やすくなります。
市販のだしパック・液体だしを選ぶ際の注意点
手軽に使える市販のだしパックや液体だしですが、原材料表示をよく確認することが大切です。
- 避けたい成分の例: 食塩、酵母エキス、たんぱく加水分解物、〇〇調味料(アミノ酸等)、着色料、保存料など。
- 「無添加」「減塩」と表示されていても、食塩以外の添加物が含まれている場合があるため、表示内容を詳しく確認しましょう。
基本的なだしの取り方
家庭で簡単にできる基本的なだしの取り方をご紹介します。
1. 昆布だし
- 水出し: 昆布(水1リットルに対し10〜15g程度)を清潔な容器に入れ、分量の水を加えて冷蔵庫に一晩(5時間以上)置きます。雑味が少なく、すっきりとした上品なだしが取れます。離乳食初期から使いやすいでしょう。
- 煮出し: 昆布(水1リットルに対し10〜15g程度)を水に30分〜1時間浸けてから鍋に入れ、弱火にかけます。沸騰直前に昆布を取り出します。煮すぎると粘りやえぐみが出やすくなるため注意が必要です。
2. かつお昆布だし
- 水出しした昆布、または煮出し直前の昆布を取り出した後のだし汁を鍋に入れます。火にかけて沸騰したら火を止め、かつお節(水1リットルに対し20〜30g程度)を加えます。かつお節が沈んだら、キッチンペーパーなどを敷いたザルでこします。かつお節を絞ると雑味が出るため、自然に落ちるだし汁だけを使用します。離乳食中期以降におすすめです。
3. 煮干しだし
- 煮干し(水1リットルに対し20〜30g程度)は頭とはらわたを取り除き、水に30分〜1時間浸けておきます。そのまま鍋ごと火にかけ、沸騰したらアクを取りながら弱火で5〜10分煮出します。キッチンペーパーなどを敷いたザルでこします。風味がしっかりしているため、汁物などに適しています。
4. 干ししいたけだし
- 干ししいたけ(水1リットルに対し3〜5枚程度)を清潔な容器に入れ、分量の水を加えて冷蔵庫で5時間〜一晩かけて戻します。戻し汁がだしとして使用できます。うま味成分が豊富で、煮物などにコクを与えます。
だし汁の安全な保存方法
せっかく取っただし汁は、衛生に注意して適切に保存することで、毎日の食事作りに手軽に活用できます。
- 冷蔵保存: 煮出しただし汁は粗熱を取り、密閉できる清潔な容器に入れて冷蔵庫で保存します。保存期間は2〜3日程度が目安です。
- 冷凍保存: より長期保存したい場合は冷凍が適しています。製氷皿に入れて凍らせれば、必要な分だけ簡単に使用できます。凍ったらフリーザーバッグに移し替え、冷凍庫で2週間〜1ヶ月程度保存可能です。使用する際は、凍ったまま料理に加え加熱します。
だし汁を活用した乳幼児・幼児向け簡単レシピ
だし汁を上手に使うことで、簡単かつ栄養バランスの良い美味しい料理が作れます。月齢や年齢に合わせて、食材の固さや大きさを調整してください。
レシピ例1:だし入り野菜ペースト(離乳食中期〜後期向け)
材料: * お好みの野菜(例:カボチャ、ほうれん草、にんじんなど) 50g程度 * 昆布だし または かつお昆布だし 大さじ2〜3
作り方: 1. 野菜は皮をむき、柔らかくなるまで加熱します(蒸すか茹でる)。 2. 加熱した野菜とだし汁をブレンダーやすり鉢に入れ、なめらかになるまで混ぜ合わせます。水分の量はだし汁で調整してください。 3. 製氷皿に入れて冷凍保存しておくと便利です。
レシピ例2:だし入りうどん(離乳食完了期〜幼児期向け)
材料: * 子供用うどん(または柔らかく茹でたうどん) 50〜80g * かつお昆布だし または 煮干しだし 100ml * お好みの野菜(例:玉ねぎ、人参、葉物野菜など) 10g程度 * 鶏ひき肉 または 豆腐 少量 * しょうゆ ごく少量(風味付け程度、無くても良い)
作り方: 1. 野菜は子供が食べやすい大きさに刻み、鶏ひき肉(または豆腐)と一緒にだし汁で柔らかくなるまで煮ます。 2. 別の鍋でうどんを柔らかく茹で、器に盛ります。 3. 1の具材とだし汁をうどんにかけます。必要であれば、風味付け程度にごく少量のしょうゆを加えます。
レシピ例3:だし入り卵焼き(幼児期向け)
材料: * 卵 1個 * かつお昆布だし または 煮干しだし 大さじ1〜2 * お好みの刻み野菜(例:ほうれん草、人参など) 少量(無くても良い) * サラダ油 ごく少量
作り方: 1. ボウルに卵を割り入れ、だし汁と刻み野菜を加えて混ぜ合わせます。 2. 卵焼き器にサラダ油を薄くひき、中火で熱します。 3. 卵液を数回に分けて流し入れ、巻いていきます。焦げ付かないように火加減を調整してください。 4. 粗熱が取れたら、子供が食べやすい大きさに切ります。
まとめ
だしは、子供の食事において塩分を控えるための工夫として非常に有効であり、うま味によって食欲を増進させ、味覚を育む助けとなります。家庭でだしを取ることは、素材の安心・安全性を確認できるという大きな利点があります。市販品を利用する場合でも、原材料表示をよく確認し、不要な添加物を避けるようにしましょう。
ご紹介した基本的なだしの取り方や活用レシピを参考に、ぜひ毎日の食事にだしを取り入れてみてください。少しの手間を加えることで、お子様にとってより安全で美味しい、そして栄養バランスの整った食事を提供できるでしょう。