【安全・安心】乳幼児・幼児期の食事のための食品表示の見方:原材料・添加物・アレルギー表示のチェックポイント
はじめに:なぜ今、食品表示の見方が大切なのか
お子様の毎日の食事について、「何を選べば安全なのだろうか」「本当にこの食品は子供に与えても大丈夫だろうか」と不安を感じていらっしゃる親御様は少なくありません。特に、乳幼児期から幼児期にかけては、体の機能が未熟であり、口にするもの一つ一つに気を配りたいと思われることでしょう。
スーパーマーケットやお店に並ぶ食品には、必ず「食品表示」が記載されています。この食品表示は、法律に基づいて消費者が食品に関する正しい情報を得られるように定められたものです。原材料、添加物、アレルギー情報、保存方法、期限など、様々な情報が含まれています。
しかし、表示を見ても専門用語が多かったり、どこに注意すれば良いのか分からなかったりと、戸惑うこともあるかもしれません。本記事では、「キッズ未来ごはんナビ」の専門家として、乳幼児・幼児期のお子様の食事のために、食品表示の特に注目すべきポイントを分かりやすく解説します。表示を「読む力」を身につけることで、より安心して食品を選べるようになる一助となれば幸いです。
食品表示の基本を知る:義務表示と任意表示
食品表示には、食品表示法によって表示が義務付けられている「義務表示」と、事業者が任意で行う「任意表示」があります。私たちが特に注目すべきは、安全に関わる情報を含む義務表示です。
義務表示の主な項目は以下の通りです。
- 名称
- 原材料名
- 添加物
- 内容量または固形量及び内容総量
- 消費期限または賞味期限
- 保存方法
- 製造者、加工者または販売者の氏名または名称及び住所
- 特定のアレルギー物質
- 栄養成分表示(任意の場合あり)
これらの項目をチェックすることで、食品がどのようなものから作られ、どのように扱えば安全かを知ることができます。
原材料表示の見方:何からできているかを知る
原材料表示には、使用されている全ての原材料が、使われた重量の割合の高いものから順に記載されています。つまり、一番最初に書いてあるものが最も多く含まれているということです。
- 表示順序の確認: 例えば、「パン」の原材料表示を見て、「小麦粉(国内製造)、砂糖、マーガリン、パン酵母、食塩…」と記載されていれば、小麦粉が最も多く、次に砂糖が多いということが分かります。お子様に避けたい特定の食材や成分(例:過度な糖分や塩分、特定の油など)が多いかどうかを判断する手がかりになります。
- 複合原材料: 複数の原材料からできているもの(例:ソース、冷凍食品の具材など)は、「〇〇(原材料名、原材料名…)」というようにカッコ書きでその内訳が示されます。これも確認しておくと、さらに詳細な情報を把握できます。
添加物表示の見方:不安を解消するために
添加物と聞くと、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。添加物は、食品の製造過程または加工・保存の目的で使用されるもので、食品衛生法に基づき安全性が評価され、国が使用を許可したものだけが使用されています。全ての添加物が健康に悪影響を与えるわけではなく、食品の品質保持や栄養強化に役立つものもあります。
しかし、感受性の高い乳幼児期には、できるだけ避けたいと考える親御様も多いでしょう。
- 添加物の表示: 添加物は、原材料名の欄に原材料と分けて記載されるか、原材料名の後にまとめて記載されます。物質名(例:「ビタミンC」「アスパルテーム」)または用途名と物質名を併記(例:「酸化防止剤(ビタミンC)」)で記載されます。
- 注意すべき点: 法律で定められた安全基準はありますが、個々の体質や、様々な食品から摂取する総量についての考え方など、気になる点があれば、できるだけ添加物の使用が少ない食品を選ぶという選択も可能です。特に、着色料、保存料、甘味料の一部など、お子様への影響が懸念されるものについて情報を集め、ご自身の判断基準を持つことが大切です。全ての添加物を過度に恐れる必要はありませんが、表示を見て何が含まれているかを知ることは、賢い選択に繋がります。
アレルギー表示の見方:命を守るために最も重要な情報
食物アレルギーがあるお子様にとって、アレルギー表示は最も重要な情報です。食品表示法では、アレルギーを引き起こしやすい特定の原材料について表示が義務付けられています。
- 表示対象: 現在、特にアレルギーを発症しやすい「特定原材料」として、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生、くるみの8品目が定められており、表示が義務付けられています。このほか、発症数が比較的多く、かつ重篤となる方がいる「特定原材料に準ずるもの」として、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンなどの20品目が推奨表示品目として定められています。
- 表示方法: これらのアレルギー物質を含む場合は、原材料名の近くに「〇〇を含む」というように記載が義務付けられています。特定原材料に準ずるものについても、表示されていることが多いです。
- コンタミネーション: 同じ工場内でアレルギー物質を含む製品も製造している場合、意図せずアレルギー物質が少量混入してしまう可能性があります。これは「コンタミネーション」と呼ばれ、「本品製造工場では〇〇を含む製品を生産しています」のような注意喚起表示がされていることがあります。重篤なアレルギーがある場合は、この表示も必ず確認してください。
お子様のアレルギーの種類と、表示義務・推奨の品目を把握し、必ず全ての加工食品の表示を確認する習慣をつけましょう。
賞味期限・消費期限の正しい理解:安全に食べるために
食品には、「消費期限」または「賞味期限」のどちらかが表示されています。これらは、食品を安全に食べられる期間を示しています。
- 消費期限: 傷みやすい食品(お弁当、生菓子など)に表示され、「安全に食べられる期限」を示します。この期限を過ぎた食品は、安全性に問題が生じる可能性があるため、食べない方が良いとされています。
- 賞味期限: 比較的傷みにくい食品(スナック菓子、レトルト食品、缶詰など)に表示され、「美味しく食べられる期限」を示します。この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありませんが、風味が落ちたりする可能性があります。未開封で表示された保存方法を守っていた場合の期限です。
- 開封後の注意: 賞味期限や消費期限は、未開封で正しく保存した場合のものです。一度開封した食品は、表示に関わらずできるだけ早く使い切ることが重要です。保存方法(冷蔵、冷凍、常温など)も必ず確認し、正しく保存してください。
産地・原産地表示の見方:どこから来たかを知る
食品の安全性を考える上で、どこで生産・加工されたかを知ることも重要です。
- 生鮮食品: 野菜、果物、肉、魚などの生鮮食品には、原則として産地や養殖地などが表示されています。国産品であれば都道府県名、輸入品であれば国名が表示されます。
- 加工食品: 加工食品の場合、使用している原材料の原産地が表示されていることがあります。特に輸入品を原料として国内で加工した場合など、より詳細な情報が記載されている場合があります。例えば、「原産国名:〇〇」と表示されていれば、その国で最終的な加工が行われたことを示します。原材料の産地が気になる場合は、「原材料名:〇〇(△△産)」のように記載されているか確認します。輸入品の食品そのものには「原産国名」が表示されています。
全ての産地表示が義務付けられているわけではありませんが、表示を確認することで、おおよその生産・加工場所を知る手がかりになります。
表示を活かした安全な食材選びのヒント
食品表示は、安全な食品を選ぶための重要な手がかりですが、全てではありません。
- 情報源の確認: 表示だけでなく、信頼できるメーカーのウェブサイトを確認したり、購入する店舗に問い合わせたりすることも有効です。
- 無理なく続ける: 全ての表示項目を完璧に把握しようとすると大変かもしれません。まずは、原材料名、添加物、アレルギー表示、そして期限表示の4つから確認する習慣をつけることをお勧めします。
- バランスの取れた情報収集: 添加物や特定の原材料について過度に不安を煽る情報もありますが、科学的な根拠に基づいた信頼できる情報源(国の機関、専門家などの情報)を参考に、冷静に判断することが大切です。
結論:表示を見る習慣で安心な食卓を
乳幼児・幼児期のお子様を持つ親御様にとって、食事の安全は最優先事項の一つです。食品表示は、私たちが口にするものがどのように作られているかを知るための大切な手がかりです。
原材料、添加物、アレルギー情報、期限、産地といった表示項目を一つずつ確認する習慣をつけることで、お子様にとってより安全で、ご家族の価値観に合った食品を選ぶことができるようになります。これは、日々の食事に対する不安を軽減し、安心して子供の健やかな成長を支えることに繋がります。
全てを一度に完璧に理解する必要はありません。まずは気になる項目から少しずつ表示を確認することから始めてみましょう。表示から得られる情報を活用し、安心できる食材選びを実践していただければ幸いです。